欲しかった「あの商品」が、一瞬で3倍の値段に…
「待ちに待った限定スニーカーの発売日、なのに秒で完売。。。数分後にはフリマアプリで定価の3倍で出品されている……。」
あの時の、なんとも言えない「絶望感」と「怒り」。
「転売ヤーさえいなければ、私が定価で買えたのに!」と叫びたくなりますよね。
でも、ちょっと不思議に思いませんか?
世の中には、同じように「安く買って、高く売る」ことで、大金を稼いで尊敬されている人たちがいます。そう、プロの投資家です。
彼らは「かっこいい投資家」で、転売ヤーは「迷惑な存在」。この差って一体どこにあるのですかね。。
そもそも「安く買って高く売る」は、株や投資の基本
まず、株の売買をイメージしてみましょう。「安いときに買って、値上がりしたら売る」。これは投資の基本であり、決して悪いことではありません。
なぜなら、投資家が株を買うことは、その会社の価値を認めて応援することだからです。
専門用語でいうと、これは「流動性の提供」や「価格の発見」と呼ばれます。
もっと噛み砕くと、投資家は「価値があるのに埋もれているものを、みんなが見える場所へ引っ張り出す」という仕事をしています。
例えば、まだ誰も気づいていないけれど素晴らしい技術を持つ会社を見つけ、株を買う。するとその会社にお金が回り、社会に便利なサービスが広まります。これは「砂漠の入り口に自販機を置いて、誰でも飲み物が買えるようにする」のと同じで、世の中に新しい便利を運んでいるのです。
プロの技術「アービトラージ」は市場のお掃除屋さん
この「安く買って高く売る」を、さらにプロが極めたのが「アービトラージ(裁定取引)」です。
一言でいうと、「価格のパズル解き」です。
例えば、
Aというアプリではビットコインが1000万円
Bというアプリでは1001万円
この一瞬の「値段のズレ」を見つけ、Aで買ってBで売る。これによって世界中の価格差が修正され、私たちはどこでも適正な価格で取引できるようになります。
彼らは、いわば世界中の価格の歪みを直して回る「市場のお掃除屋さん」なのです。
砂漠で「自販機を置く人」vs「水飲み場を隠す人」
では、私たちが怒りを感じる「悪い転売」は何が違うのか。
● 投資家の動き(正義):
価値を信じて自販機を設置し、みんなが買える「道」を作る人。
世の中に「便利(プラス)」を運んでいるから、報酬をもらうのはフェアです。
● 悪い転売ヤーの動き(悪):
砂漠にたった一つしかない水飲み場を仲間と囲んで隠し、「飲みたければ1万円払え」と喉がカラカラの人に迫る人。
これは、元々そこにあった価値をわざと隠して、買えない人を無理やり作っているだけ。自分の利益のために、世の中に「不便(マイナス)」をバラ撒いて通行料をむしり取っているのです。
「成長という波」に乗るのが投資、「邪魔という壁」を作るのが転売、と言えるかもしれません。
悪いのは「人」なのか、「ルール」なのか?
こう聞くと、「やっぱり転売ヤーが悪いんだ!」となりますよね。
でも、この連載で考えたいのは、その先です。
そもそも、なぜ現代のテクノロジーをもってしても、そんな「水飲み場を隠す」ようなお邪魔キャラが、簡単に得をできてしまうのでしょうか?
実は、私たちが当たり前だと思っている「限定品の売り方」や「早い者勝ち」というルール自体に、100年前から変わらない古いバグが放置されているからかもしれません。
次回は、メーカー側も頭を悩ませる「限定品販売のジレンマ」について掘り下げていきます。
【次回の予告】
「なぜ限定品は『早い者勝ち』なの? 100年前から変わらない販売ルールの正体」
お楽しみに!
